第3話でこれから取り上げるフレーズは、キーワードにすると
「商売は損益計算」、「借財人の義務」、「やけ酒は無用」、「慢性胃病と漢方の効用」、
「弱者の生存哲学」、「女の直観」、「養生に役立つカラオケ」などとなり、
多くのフレーズは社会生活の常識を借りて相手を説得する根拠にしています。
【経験則・生活の知恵】に関することわざ・格言・成語など
▲亏本的生意谁还做? kuībĕn de shēngyi shuí hái zuò?
→損する商売、誰がする?
※亏本 kuī-běn;【動詞】元手を失う・商売で損する・元本割れ
生意 shēngyi:商売・取引・ビジネス
中国語の表現スタイルの中で、反語形は日常口語として好んでよく使われる。
原形は“谁都不(愿意)做亏本的生意。”
→誰でも損する商売はやらない(やりたがらない)ものだ
言い回しにひねりを入れて、相手に肉薄するスタイルは確かに説得力が強まる。
裏返すと、
“稳赚不赔的生意谁都愿意去做。”
→コンスタントに儲かる商売なら、誰だって喜んでやりたがるものだ
※稳赚不赔; wĕnzhuàn-bùpéi:【慣用句】元手を磨ることなく、しっかり儲かる
▲ “欠债还债,这是天经地义 qiànzhài huánzhài,zhè shì tiānjīng-dìyi”
→借金したら返済するのは、人としてごく当たり前のことだ。
※天经地义;天地の大義・ 万世不変の道理
借金返済は人間社会のありふれた日常的な営みだが、現代中国人がそれを表現するとき、
宇宙天地を引き合いに出して、「万世不変の道理」と説くところがミソ。
誇張した言い方というより、中国古来の「天(地)人合一」の思考スタイルの表れと考えられる。
古代中国人の壮大な宇宙観・世界観が、
火星探査や月面基地建設という夢のプロジェクト実現に向かって推進中の現代に、
ひょっこり顔を出している感じが面白い。
(つづく/鄭青榮)