利益誘導スタイルで説得するフレーズは日常会話によく登場する。
ただ、用語や言い回しに中国人的な発想や中国語の特色が際立つものが少なくない。
例文の中から、それぞれのキーワードを挙げれば、「利益の分配」、「期待利益」、「見返り」、
「手数料又は「世話料」・「リベート」、「報賞」、「金銭給付の保証」などとなります。
語彙の面からみると、“份儿”、“收获”、“白辛苦”、“亏待”、“辛苦费”、“好处”、“有赏”、“包你满意”などがよく使われる。
場合によっては、説得というよりも、金銭・地位・待遇などの利益を提供するからと勧誘して、
相手をその気にさせるものと言えそうです。
では、例によって、各フレーズの背景や言葉の表層の奥にある意味を探ってみましょう。
每人都有份儿 /这样做容易有收获 /我不会让你白辛苦的
→全員が分け前をもらえるよ/こうすれば、成果が得られやすい/あなたを無駄に苦労させることはないはずだ
(発音; mĕi rén dōu yǒu fènr. / zhè yàng zuò róngyì yǒu shōuhuò. / wǒ bù huì ràng nĭ bái xīnkǔ de .)
語注 :
●份儿 fènr;【名詞】取り分/分け前
●白 bái;【副詞】空しく/無駄に/ただで
解説 :
▲每人都有份儿。
→みんなそれぞれの取り分がありますよ。
分け前は漏れなく全員に行き渡るから、安心しなさいと、グループのリーダーがメンバーに言うセリフ。
グループ全員の士気や勤労意欲を鼓舞する効き目があります。
利益の分配で仲間割れを防ぐ狙いもありそうです。
▲这样做,容易有收获。
→こうすれば、成果が得られやすい。
従来の方法よりもこのやり方のほうが成果を期待できるよ、と売り込む言い方。
▲我不会让你白辛苦的。
→私はあなたを無駄に苦労させるはずはありません。
骨折り損になるのでは、と心配をする相手に対し、何らかの報酬を支払うと口約束する時のセリフ。
以上の例文に共通するのは、聞き手の心理状態をよく掴んでいる点だ。
ツボを押さえて施術する針きゅう治療に似て、効果を収め易いわけだ。
(つづく 鄭青榮)