中国語あれこれ

中国流 説得スタイル ー表現解説集【第3話(H)】

《 中級会話エリアの穴場 》
【第3話(H)】(続)経験則・生活の知恵で説得するスタイル

“钱是少了点儿,但也可以救救急嘛!”
/金額的には確かに不充分だけれど、それでも急場しのぎの足しにはなる、と言うではありませんか

【経験則・生活の知恵】に関することわざ・格言・成語など

中国流説得の決めセリフ

钱是少了点儿,但也可以救救急嘛!qián shì shăo le diănr ,dàn yĕ kĕyĭ jiùjiu jí ma!
→金額的には確かに不充分だけれど、それでも急場しのぎの足しにはなる、と言うではありませんか

誰でも多額な臨時支出、不時の出費に困った経験はあるものです。
そんな時に救いの手を差し伸べてくれた人のこのセリフに誰しも納得するはずです。

金額的に充分でも、「少了点儿=少し足りない(けれど…)」と謙遜して言う。
またメンツを重んじる中国人なら、相手が必要とする全額をドーンと援助して体裁よく人助けしたがるものだが、
そこまでは余力がない、またはカネをすぐには工面できない、そんな場合にも中国人の弁舌は冴えて爽やかだ
——急場しのぎに役立つ実効性の点を強調する決まり文句がこれ。

友人関係を大事にする、助け合い的な中国社会の日常風景の中で聞かれることばだが、
人情の機微に触れるこの言い回しはなかなか味わい深い。
“义利兼顾yìlì jiān gù”(道義を大切にし、筋道を通す中で利益を求める)ことが提唱、推奨され、
逆に“见利忘义jiàn lì wàng yì”(利を見て義を忘れる)のは反面教師と看做され、悪い見本として戒められている。
(=義、=顧、=見)

(つづく 鄭青榮)