中国語あれこれ

中国流 説得スタイル ー表現解説集【第8話(A)】

【第八話(A)】いぶし銀の大局観に秘められた強い説得力

大局観に関することわざや慣用句は中国人の日常語に多く見受けられる。
こうした諺・慣用句には、大局観から導き出した中国人の生活の知恵や人生訓がいぶし銀のように凝縮されている。
そうしたものが、人々の日常生活に活かされ、また人生行路の道標として重んじられ、活用されてきた。
同時に、これらの諺は政治の知恵として、国造りや国家運営における基本的な観点・判断に大いに資するものと重要視されてきた。

相対的に厳しい自然環境と複雑な地政学的環境に置かれた中国と中華民族。
歴史的に見ても、古くから王朝の交代が頻発し、分裂・戦乱・割拠の局面が多く出現した中国ではあるが、中華文化を強靭な絆として全国統一を保ってきた多民族国家、それが中国である。

中国の人々は統一・平和・多民族共生を希求する営みの中で、戦乱を回避したり、
広域にわたる複雑多岐な利害関係を調整したりするため、複眼的思考方式が発達してきた。
またより広い視野に立って課題解決を図る必要に迫られ、必然的に大局観がいやがうえにも鍛え上げられてきた。
これに「百年の大計」式の長期展望思考が加わると、「万里の長城」」のような壮大なプロジェクトが必然的に生み出されてくる。

古来の諺・慣用句である “人生百年”、“长命百岁”、“百年大计”、“百年树人”などが示す通り、
物事を100年単位の長期スパンと壮大な展望で考える傾向を持つ中国人。
いま世界各国から注目を浴びている「シルクロード巨大経済圏構想(一帯一路)」、さらには「人類運命共同体構想」が
ほかならぬ中国人によって提唱され、推進されていることは決して歴史の偶然ではない、といえましょう。では、次に大局観に関連することわざ・慣用句を紹介します。

*百年树人băi nián shùrén;人材の育成には百年かかる

大局観関連のことわざ・慣用句

望远能知风浪小 凌空才觉海波平

望远能知风浪小wàng yuăn néng zhī fēnglàng xiăo
→遠くから眺めると、海上の大きな風波も小さく見えるものだ。

大きな困難も考えようによっては、大した困難ではないことに気づく。
対句のもう片方は“凌空才觉海波平líng kōng cái jué hăibō píng—(空高く昇ってこそ、風波の荒れる海面も平らかに見えるものだ)”。
*凌空 língkōng;上空に昇る

現場から離れて、広い視野から観察してこそ、物事全体の動きが大局的によく把握できる。
⇔「木を見て森を見ず(只看树木,不看森林 zhĭ kàn shùmù,bù kàn sēnlín.)」

(つづく 鄭青榮)